読書体験の
極北
さて、いつも酒やブーツばっかりなんで、久しぶりに本の話でも。
こちらです。
ウラジーミル・ソローキンの青い脂です。
なんだ、なんか小難しい読書で頭良いアピールか、と思われるかもしれませんが、正直これを買ったときにはそんな気持があったかもしれません。
でもね。
これたぶん、長い読書人生の中で1,2を争うほどショックを受けることになりました。
ソローキンは名前はちょっとだけ知っていたのですが、本は読んだことは無く、本屋に並んでてなんか異彩を放っている表紙とタイトルに惹かれて買ってみたものです。
結果、放っていたのは異彩では無く、異臭だったのですが。
ジャンルはなんだろうなぁ。とりあえずSFに入れるのかな。でも違和感があるので、ジャンルはソローキンです。
内容やストーリーは無いことは無いのですが、たぶん紹介することに意味は無さそう。
ポストモダンに分類される作家で、言葉、文章、文体、構成、内容全てがおかしい。しかもそれが考え抜かれた上で意図的に行われているところが、ビートニクとも違うところ。
この青い脂では中国語となんか訳のわからん言語が混じって妙な単語が生まれています。
意味なんかわかりません。
でも、何故か笑えたりも出来る。
地下に、地下に降りていくところなんかは大爆笑です。
読み終わっても何を読んだんだかさっぱりわからない。でも衝撃だけは残っている。そんな小説。
これ、読むタイミングも難しいかも。私が読んだのは、冬の雨が降ってて、外に出る気もしない休日。なんか鬱々とした気分のときでしたが、それがよかった。普通の気分ならぶん投げていたかもしれません。
しかし、この作者は東京外国語大学で教師もやっていたんですよね。そんなインテリがこれ書くか。というかだから書けるのか。
訳した人もすごいですね。まだ、北海道大学の大学院生だったかな。すごいセンスです。
おそらく内容を10%も理解していないので、訳のわからない紹介になってしまいましたが、興味ある方はご一読を。そして感想を聞きたい一冊です。
あ、エログロ耐性が全く無い人には勧めません。逆にそれ目的で読むのも無理かと。
帯に寄せている、岸本佐知子さんの居心地の悪い部屋や変愛小説集なんかが好きな方にはお勧めかと。いやそんなことは無いか。
今は、新作というかようやく訳が出た氷を読む前に、愛を読み返しています。愛ってタイトルに期待してはダメですよ。
ってな感じで。
リプス・老外!