オイルとワックスと
防水性と撥水性
最近冷たい雨が降り続いており、またブーツの防水性についてのコメントも頂きましたので、少し試してみました。
まずはこちらの2枚の写真。
レーダーバルサムの9875と。
マスタングの9870です。
これまで何度も書いていますが、レーダバルサムはオイル分とワックス分が含まれ、表面にワックス層が形成されるのに比べ、マスタングは基本馬油のみで表面にワックス層は形成されません。
これだけ書きますと、レーダーバルサムの9875の方が防水性がありそうですが、実際に水を垂らしてみると、上記の写真に様に9875は結構染み込み、9870は水滴をはじいています。
これは、オイルやワックスの違いよりも、元々の革の違いによるものが大きいと考えます。
9875のゴールドラセットは比較的柔らかくなりやすい革質で、柔らかくなるということは革の繊維がほぐれてくるということですので、その分、防水性が低くなります。
これに比べ9870のクローンダイクは硬めの革で繊維も締まってますので、染み込みにくいのかと。
この他、革のなめし方や、表面の染色方法など様々原因があるかと思いますが、一番大きい要因は、やはり繊維の締まり方かなと。これは以前オイル比較をした際に、どんなオイルやワックスでも塗布後に革をグニグニ揉むと結局染み込むことでも検証済みです。
さて、ここまで敢えて、防水性という言葉を使いましたが、もう少し厳密にいうと、撥水性のことを語っています。この二つの言葉は似ているようですが、オイルやワックスの効果を考える際には分けた方が分り易くなります。
ワックスは表面に層が出来て、主に撥水性を発揮し、オイルは革に浸透し、防水性を発揮します。オイルの防水性って言っても、分り難いかも知れませんが、例えば上記の9875では多少水が浸透しても、革の内側まで浸透することはかなりの豪雨でも殆どありません。
9870のマスタングももちろん同じです。
これが、オイルアップをしないで乾いた靴だと、簡単に内側まで浸透してしまいます。
では、実際に防止性や撥水性を考えた場合に、どのようにオイルやワックスを使うかですが、まず、ワックス分のみの塗布では先述の革の柔らかさや動きでワックス層を突破された場合、そのまま染み込んでしまいますので、あまりお勧めしません。もちろんガッチガチに塗り込めば撥水性は良くなるでしょうが、あまり革には良く無いかと。
なので、まずは下地にマスタングやニーツフット等のオイル分を塗布した後に、ワックス塗布というのが良さそうです。
それが面倒な場合は、レーダーバルサム等のオイルとワックスが含まれているモノを使うのが楽です。
じゃあ、オイル分のみだとダメかというと、上記の9870のようにマスタングのみでも撥水性と防水性を保っているので、これは革質との兼ね合いでしょう。
ゴールドラセットの様な柔目の革にオイル分だけというのはやったことが無いのですが、どうせワックスを塗っても撥水性はあまり望めないので、ニーツフットやマスタングで、革焼けの変化を愉しみつつ、防水性を保つってのも面白そうです。
てことで、結局革質との相性という曖昧なお話しになってしまいましたが、一番大事なのはやはりブラッシングで汚れを落としておくことだと考えます。これだけでも輪染みをかなり防止できます。
後はワークブーツなんだからという割り切り、でも、ワークブーツだから汚れても放って置くってのも嫌なんですよね。工具とかと同じで、使うときは汚れや傷なんかは気にせずにガンガン使って、使い終わったら次に使うときに備えて手入れをするということです。汚れと味は違うモノという考えです。
はからずもこのブログのサブタイトルに繫がったところで。
ではでは