BE6i イヤーチップ
昔取った杵柄
微妙に間違った用法のような気もしますが、昔イヤホンに嵌っていた時の経験をもとにBE6iに合うイヤーチップはどれだろうと探ってみました。
あ、先に言い訳しますが、今回は趣味と主観満載の上に、かなり長くなる気がします。
では登場するチップはこちら。
左から、純正のシリコンチップ、コンプライTx-500、コンプライTs-500です。サイズは全てM。
素材は、シリコンチップはそのままペナペナのシリコンゴム。コンプライは低反発のウレタンです。
ちょっと寄り道をしますと、コンプライの添え字、xやsというのは、xが耳垢ガード付き、sが丸い形であることを示します。xの耳垢ガードってのはこうなってます。
小さくて見難いですが、穴の中に薄いウレタンの膜がついています。これが必要かどうかは、正直どっちでも良いかというか、特に今回のBE6iでは無くても良いかなと思います。
というのも、BE6iの先端部はこんな風になっていまして。。。
そもそもガードされているので、敢えての耳垢ガードは無くてもいいかなと。これが、10proの豚鼻のように穴が直接空いてるようなものは、ガードがあってもいいかも。
ちなみに、今は丸型かつ耳垢ガード付きのTsxシリーズってのもあります。
戻って。最初の3種類ですが、かなり劇的に音が変わります。理由は主に、素材と高さ(長さ)です。
まず、シリコンチップから。
音は中高音よりでスッキリした印象。低音は比較的抑えめになりますが、その分非常に開放的な音がします。これは素材に高音が吸収されないことと、チップの長さが短いことで、ドライバーユニットと耳の距離が短くなるからです。
低音から高音までバランスが非常に良く、おそらくこのイヤホンの音調整はこのチップで行ったんだろうなという気がします。
続いて、Tx-500に取り替えます。
写真を取り忘れたので、以前撮ったものを再掲です。
音は、低音が強くなり、全体的に籠ったような音になります。
これは先ほどのシリコンと逆で、ウレタン素材が高音を吸収し、かつチップが長いため、ユニットとの距離が長くなるからです。更に、余った先端部が耳の中で潰れて、籠り感を強くしています。
更にTs-500。
Txと同様に低音よりのバランスにはなりますが、ユニットとの距離が少し近いので、籠り感は少し弱くなり、高音の低下もTxほどにはなりません。
さて、こう比べると、最初のシリコンチップが一番良いように見えますが、この結果は室内の静かな環境で比べた場合の感想です。
実際に使うことが多い、外の環境だとまた違った感想になります。
まず、シリコンチップは遮音性が低いため、外の環境では高音がかなりマスクされます。それを補うために音量を上げると、ただでさえ低音が弱いのに合わせて、全体にシャリシャリした音になると共に、耳の健康にも良くありません。
ただし、シリコンゴムという特性上水分を吸わないので、汗を多くかく環境には合っています。
これに比べ、コンプライは元々ヘリのパイロット用に作られたこともあり、遮音性が非常に高いのが特徴。このため、室内で聴いたバランスがほぼそのまま再現されますし、SN比(この場合のノイズは外部騒音です)が高くなりますので、極端に音量を上げる必要もありません。
更に、外の騒がしい環境で聴くと、籠り感もあまり気にはならず、低音を基調としたドンシャリが気持ちよく響きます。
但し、ウレタン素材は水を吸いますので、汗などを吸うと音質が一気におかしくなるのが難点。
こういう特性から、外主体で聴くならTs-500が一番あっていると感じます。
ただ、コンプライはワンペア1000円くらいすること、毎日使っていたら、下手すると一か月くらいでダメになることを考えると悩ましいところではあります。ちなみにダメになった目安は、潰しても直ぐに戻るようになった頃です。まぁ、何だかんだ3か月以上は使うのですが。
なお、俗にいうコンプライの逆刺しはちょっと耳に刺さる音になるので、このイヤホンに関しては合わないかも。
逆差しはその名の通り、チップを反対側から刺すのですが、これにより、籠りの原因になる先端部のあまりも発生しないという方法です。
ちなみに、シリコンとウレタン両方の特性を持ったソニーのアイソレーションイヤーピースってのもあるのですが、500番台の太さには入りません。
さて、ここまでは一般論。シリコンチップとコンプライの違いや優位性なんかは、巷で語られていることと、そんなに変わらないと思います。
ここからは、BE6iならではのお話し。
Tx-500からTs-500に交換した時に、低音が異常な程強くなったのです。
Tsの方が密閉感が強いので、低域が多少強くなるのは予想の範囲だったのですが、そんなレベルをはるかに超えて、低音ブーストを異常にかけたような状態になったのです。
さすがにこれはおかしいだろと調べてみると、原因が分りました。
これです。
一つ前の写真と比べて頂けると、奥まで刺さっているのが分ります。
更に、前の写真をよく見ると、チップと本体の間に見えるチューブ部分に小さな穴が開いているのが分ります。
上の奥まで刺した状態では、この穴を塞いでいたのです。ギュッと力を入れ過ぎで、刺し過ぎていたのです。
BE6iではこの穴から空気を抜くことで、エアーダンパ効果を調整して、特に低音のバランスを取っていたのですね。
なので、この穴を塞ぐことで、完全な密閉型になってしまい、更に、密閉度の高いコンプライを使うことで、低域がブーストされてしまっていたのです。
そういえば、同じような形状の10proに比べて、外部騒音が聞こえるなぁと思ったらこのせいだったんですね。
10proはドライバーがBAなのと、容積が大きいので完全密閉でも問題無かったのかも。
ちなみに、前半に挙げた純正のシリコンチップも一見この穴を塞いでいるように見えますが実際はこうなっています。
うまいこと穴を回避しています。
と、つらつら書いてきましたが、とりあえずチップはTsで行くとして、このイヤホンの評価はもう少し使ってからにしようかなと思います。今のところは、かなり満足度が高い一品ですが。
てことで
ではでは