ヘッドフォン修理
電気系以外で
切っ掛けはこの記事。
そういや、色々売っぱらった中で、一つだけ手放さなかった有線ヘッドフォンは大丈夫だっけかと確認したところ。
テクニカのATH-ES10なのですが、ダメっぽい。
これ、チタンハウジングで音が好みってのが残した理由なのですが、側圧が絶妙に緩く、メガネでも痛くなりにくいってのも好みなのです。
ヘッドパッドがボロボロです。PU素材で日光も当たりまくる場所なのでこうなったのでしょう。触れば触る程ボロボロと崩れてくるレベル。
最近は登場機会も殆ど無かったモノの、これではあまりに可哀想ってことで、交換することにしました。自作で。
まずは構造把握ってことで分解です。
ケーブルは両出しなので、ブリッジ内の配線は無い。ならばこのネジを外せばユニットが取れるはず。
予想通り、パッド部分とブリッジは分離できるようです。
本当にボロボロ。マスキングテープは一応左右の目印のためです。
金属レールからスポッと抜けるかなと思ったのですが、意外に複雑な構造で結局切り開きました。
金属レールを中心として、パッドで滑り良く挟んでいるようです。
この構造をどこまで保つかは行き当たりばったりとして、まずは外装の革を作って行きます。
素材的には0.5mmくらいの薄くて柔らかいラム革とか、クロム鞣しの革が合ってるのですが、そんなものは持ってないので、余っている中で一番薄い馬を使います。1mmくらいでしょうか。
この時点で、失敗する可能性のある工程が浮かぶのですがとりあえず進めます。
元のサイズを測り、円周60mmの筒を作ります。
この位の大きさで馬革ならばハンマを使わずに、菱目を力任せで押し付けて穴を開けることができます。これ以上の距離が有ったり、硬い牛革ならば体力が持たないのですが。
正直5mmの菱目でも良かったのですが、際ギリで縫いたかったので結局3mm菱目を使いました。
先ほど書いた失敗する可能性のある工程と際ギリで縫いたい理由はこれです。全体をひっくり返すことができるかどうかが不安だったのです。
布レベルで薄い革や、もうちょっと径が大きければ案ずることも無いのですが、1mm強厚の革で、この直径の筒をひっくり返すのは大変なのです。
ですが、ここは過去4mm厚の革をひっくり返した経験と、革の強さを信じて、グリグリ揉みながら返していき、ある程度進んだら、棒などを使って一気にひっくり返します。
で、出来がったのがこの筒。
金属レールの上側のパッドはそのまま使うことにして、頭に当たる下側はこの薄めのウレタンを20mmくらいの幅に切って挿入します。
後で気付いたのですが、この作業、プラ板とかでウレタンの双方を挟んで筒に入れればスムースに行ったはず。
頭が回らず無理やり入れたので、摩擦でかなり苦労しました。
で、出来上がりがこちら。
ずいぶんと荒っぽい造りですが、実験としてはまぁ成功。
内側はシワシワ。このシワがクッションになって、パッドが薄くても意外に快適です。
モウブレイのデリケートクリームを入れて、出来上がりがこちら。
世の中唯一の一品が出来上がりました。替わりに補償対象外になりましたが。
次に作り直すならば、内側の革を短くしてきちんと立体構造にしたりとか、色々考えるところもあるのですが、多分その前に断線するでしょう。
ちなみに、イヤーパッドもPUなのですが、こちらは一度交換したので、まだ大丈夫なようです。
今後ダメになっても、売ってしまったATH-ESW11LTD用のラム革のパッドがあるので問題無し。
しかし、このATH-ES10、決して安くないヘッドフォンなので、こんな形で使えなくなるのは勿体なさすぎます。
テクニカの音は好きなモノもあるし、愛着もあるのですが、数年でダメになるようなモノ作りは残念なのです。
ほんと残念。
てことで
ではでは