フライトジャケット丸洗い 後編
仕上げ編
木曜の夜に急に思い立ってジャケットを洗った訳ですが、予告もしたように、一日置いた金曜の夜にオイルを入れます。8割がた乾いた状態です。
A-2と同じマスタングで、ヤギ革と馬革の違いを見るのも面白いのですが、このジャケットはRWのレザーコンディショナーで行くことにしました。馬オイルとミンクオイルの違いを見るのも一興かなと。
素のミンクオイルはベタベタ感が残って中々に厄介なのですが、このコンディショナーはちゃんと処理すればそれほどべたつかないのも確認済みですし、なによりこのコンディショナー、現状では8119専用になってますので、使い切る見通しが立たないのです。であれば他の革にも使おうかってところなのです。
丸洗いでオイル分も抜けていますので、かなり厚めに塗っていきます。塗るのは素手。このオイルに限らず、基本は素手で塗っています。革の感触も分りますし、オイルの入りにくいところは手のひらで温めて入れたりとできますので。
で、出来上がりがこちら。自分で紹介しておきながらなんですが、写真じゃ全然違いが分かりません。
仕上げとしては、前出の写真の様にコンディショナーを塗って、また一日置き、ワイプオールで入りきらないオイルを拭き取って、豚ブラシ、馬ブラシと徐々に銀面を整えていきます。
ミンクオイルベースのレザーコンディショナーとはいえ、普通に薄塗りする分にはワイプオールで拭く必要はありません。今回は特別たっぷり入れたので、処理も特別です。
さて、写真では分り難いと書きましたが、肉眼での見た目と着心地は激変です。
見た目的にはムラムラだった革が一様にしっとりし、若作りの無い30年近く経った革って感じになりました。うん、やはり分り難い。
着心地の変化はたぶんこれが一番の原因。
裏地がスッキリすべすべになったところです。
洗う前は革ばかりに注視して、気にしていなかったのですが、乾いたところを見ると、とてもきれいになっている。というか前はそれなりに汚れていました。
そんなこんなで三日かけてクリーニングしたG-1ですが、やはり水洗いで革にダメージが来るのは否めません。できるなら普段から手入れをきちんとして水洗い無しで着たいものです。
てことで、とりあえず成功した丸洗い。残りは後記で書くかも。
ではでは
フライトジャケット丸洗い
前編
今回は革のフライトジャケットを丸洗いしてみます。
モノはこちら。
30年近く着ているG-1です。
A-2を購入してからは、殆ど出番が無かったのですが、折角の一品なので眠らせておくのも勿体ない。
と、タンスから取り出してみたのですが、ぱっと見は綺麗。カビも無いし、変な臭いもしない。ですが、このジャケットはまだ革の手入れの知識がない頃に着ていたので、ミンクオイルやラナパーなんかを塗りっ放しで、ブラッシングもせずに着ていたのです。
今考えると、よくそんなベタベタしたの着れたなと思いますが、数回着ると勝手にワックスが落ちて、それなりに着れたのです。
そんな着方をしていたので、なんかこう艶の感じが不自然だし、30年間のホコリや汚れも貯め込んでいるだろうし。ならばということで丸洗いなのです。
前置きが長くなりましたが、使うのはこちら。
LEXOLのLeather deep cleanerです。道具は柔らかいスポンジ。
表面の汚れだけなら、ブーツで使っているステインリムーバでも良いのですが、今回はガッツリ行きます。
まずは、風呂にジャケットを置いて、ヒタヒタになる位シャワーで水をかけます。
正直何か悪いことをしているようで緊張します。革もそうですし、襟のファーもどうなるか心配。ちなみにお湯を使うとさすがに油分が抜けすぎるだろうということで水です。
ここからスポンジにクリーナを取って泡立て、軽く表面を拭きながら押し洗いします。
ここまでくると罪悪感は吹っ切れて楽しくなってきます。
スポンジに取る量はポンプ式のシャンプーより少し少ないくらいでしょうか。様子を見つつ泡が減ってきたら少しづつ足していく感じ。
気を付けるのは、水に濡れると革の銀面は弱くなりますので、揉み洗いや絞ったりはしないこと、爪を立てたりしないこと、柔らかいスポンジを使うくらいでしょうか。
このクリーナは変な臭いもせず、優しく汚れが落ちる感じです。水も少し茶色くなってますが、思ったよりは色落ちも無さそう。
とはいえ、あまり長く水に漬けておいても良いことは無いので、手早く洗ったら、水を抜き、軽く押しながらシャワーで全体を流します。
気休めにファー部分には普段使っている頭髪用のコンディショナーを付けてみました。効果は分かりません。
続いて脱水です。この時点で水を吸い込んで10kgはあるんじゃないかってくらい重くなってますので、洗濯機に固まったまま入れると、脱水の偏りセンサが働いて止まってしまいます。こう、洗濯槽の内周に上手く沿うように入れて、1分ほど脱水します。
洗濯機から取り出し、表面に残っている水分を拭き、一度着て破損部分が無いか確認します。
大丈夫なようでしたので、ハンガーにかけて陰干しします。
洗う前に比べてシュッとしているように見えるのは、重さのせいでシワが伸びているからでしょう。
心配したファーの部分も抜けたりダマになったりしてないので一安心。
さて、後は3日間くらいで乾くでしょうが、明日8割くらい乾いたところでオイルを入れようかと考えています。何を使うかはまだ悩み中。
ちなみに汚れの落ちですが、例として洗濯前に付いていたこの汚れというかポスカ。
確か近所の子供と遊んでいる時に付けられたものですが、これが洗濯後は。
ほとんど落ちていました。もっとゴシゴシすれば、全部落ちたかも知れませんが、革へのダメージを考えると、やり過ぎは禁物。ですが、こんな汚れも落ちてるくらいですので、全体的にも綺麗になってるはず。
てことで、やってみると意外に簡単で楽しい革の丸洗いでした。この後オイルを塗って後半に続きます。
ではでは
変化が愉しい
醸造酒
ワインなんかは顕著ですが、日本酒も含めた醸造酒は、温度と時間による変化が愉しいのです。特に一度開けて空気に触れた後の変化が興味深い。
今回ご紹介するのは、数日前に開けて半分ほど残っていたこちら。
日輪田でもお馴染み萩野酒造の萩の鶴。特別純米です。
最近は忘れっぽいので、呑んだ酒の感想をメモしているのですが、口開けの感想を見ると、ちょっと平面的な味で、さっぱりしている。リンゴの酸味を感じ、温度が上がると更に酸味が増す、とありました。
ここから数日たった今の印象は、酸味が控えめになって、甘さと苦さが加わり複雑な旨味になっているというもの。
どちらが旨いかと言われると、両方と答えます。
そう考えると、いつもは一本空けて次の酒に行くのですが、半分くらいで酒を変えてみるのも面白いかも。
考えてみると、店で日本酒を呑むときも色んな種類を頼むので、こちらの方がノーマルな呑み方なのかも。
てことで、家飲み歴も積み重ねてきたし、そろそろ色んな呑み方を試行錯誤するのも良いかなと。
ではでは
水の旨さも
色々
日本酒の味の表現は難しいものですが、私が使う言葉の一つに水の旨さというモノがあります。
ですが、この旨さも色々あるねってことで、今夜の日本酒はこちら。
岩手の悠楽です。酒器は貫入墨入れというあまり見たことの無い一品。
冷で呑んだ印象で水の旨さを感じたのですが、以前に書いたアルマイトのコップで飲んだ水では無く、焼き物の茶碗で飲んだような柔らかい水の味です。
所詮は主観ですので、伝わるかどうかは二の次なのです。明日の私に伝わればいいや。
そこから温度を上げていくと、少し葡萄感が出てきます。
蔵は吾妻嶺酒造店、酒米は美山錦。
面倒なので過去の酒を調べてはいませんが、5度以下での保存って結構きつい条件です。
これを温度を上げながら呑むのが美味いのです。
そういや、肴に拘るなんて書いた気がしますが、今夜はパン。何の拘りもありませんね。
が、ポンパドウルの釜揚げしらすピッツァはシラスとワサビで意外に日本酒にも合うなと発見した今夜です。
てことで
ではでは
2年ぶりのレザークラフト 作成後記
仕上げながら
そもそも、何か作ろうと思い立ったのはA-2用の鞄が欲しかったというのが3割、残り7割は部屋に置いてある革から、「いつまで置いておくつもりだ」というプレッシャーを浴び続けていたからです。
そんな訳で作り始めた訳ですが、デザインを考え出すと、やはりフラップを付けようかなとか、ポケットやマチを付けようか、なんて色々手を入れたくなるのです。
ですが、そういうモノなら市販品でもありそうだし、以前も作ったし、どうせなら絶対ないモノってことで、今回の超シンプル型に落ち着いたのです。
では仕上げつつその他のお話を。
まずは接着面の仕上げ。
以前も書いた気がしますが、Gクリアではみ出した部分は乾いてから針で取ります。乾く前に下手に拭き取ろうとすると却って汚くなりますので、この方法がお勧め。
コバの白ボンドで付けたところも針で取れるのですが、そうすると隙間が出来てしまいます。
ひっくり返すなら見えなくなるのでそれでも良いのですが、今回はコバを見せる仕様ですので、ここはカッターで削り表面を綺麗にします。
ただ、本来コバを見せるなら、こんな風にボンドが層になってはみ出すこと自体が失敗なのです。接着面をもっと荒らして、ボンドも少し水で溶いて浸透するように付けるべきでした。
上がカッターで揃えて、トコノールで磨いたモノ。下がトコノール処理前です。
この馬革はコバが柔めなので、あんまり綺麗なコバにはならないようです。
今回の作業では思いのほか手順を覚えていたのですが、効率良く作業を行うための諸々を忘れていました。例えば道具の配置、次の作業を見越した手順、縫っている最中の針の置き方等々。そんな理由で雑になった部分が所々見受けられます。
ここまで処理をして、オイルアップです。
馬革なので、迷わずマスタング。これはブーツで使っているのでさすがに迷いません。
塗り終わったらハンガーにかけて、しばらく浸透させます。2年以上置いておいた革なのでかなり乾燥していた模様。
浸透したら、ワイプオールで拭いてブラッシングをして完成です。しなやかな銀面が戻ってきました。
ストラップは以前作った牛革のモノを付けてみました。肩掛けならこれでもいいかも。
こんな感じで。
でも、おそらく肩から滑り落ちてきますので、やはりNinja strapで袈裟懸けかな。
忘れていた作業と言えば、道具の後処理も忘れていました。
椿油で菱目打ちを拭いておきます。
こんな感じで終わった久しぶりのレザークラフト。作業自体は4時間ほどでしょうか。ミシンを使えば裁断含めて10分もあれば終わるような簡単なモノですが、手縫いの分10年使っても壊れない自信があります。
材料費は途中のビール2本分くらいでしょう。
しかし、作業を終えてショックだったのは、次の日筋肉痛に襲われたこと。体力が落ちて同じ姿勢が辛かったのでしょう。更にショックなのはメガネを外した方が作業し易かったこと。完全に老眼です。
寄る年波には勝てないねぇ。という寂しい締めです。
てことで
ではでは
2年ぶりのレザークラフト その4
仮完成
自然光のあるうちに、形を作ってしまいます。といってもストラップを付けるだけなのですが。
カメラでお馴染みのninja strapとPeak designのアンカーリンクスを取り付けます。
出来上がりがこちら。
これをA2に付けるとこうなります。
うん、一応想定通りかな。
再練習のつもりでしたが、実用的でもありそう。
今回は、コバを見せる形にしようと表から縫ったのですが、糸のスカイブルーとストラップの色も合っていていい感じです。
何の変哲もない袋カバンですが、こういうのが意外に無いのです。だから造るのです。
後は、コバの処理とか細かい修正をして完成です。それは地味に進めていきましょう。
てことで、作成後記はまた後程。
ではでは
2年ぶりのレザークラフト その3
ビール登場
さて、ここから本体を縫っていきます。が、単調作業ですので燃料が必要なのです。
GilgameshのDoug FIRociousを飲みながら縫っていきますよ。
良い苦みを味わいつつ、片側の縫い完了。縫い方は始めてみると体が覚えているモノです。
じゃあ反対側もってことで、ビールも変えて。
アメリカのセラードアです。ウィートエールにセージの香り。美味し。
両方縫い上げました。
3mmは本当に進まなくて、ビールでも入れないとやってられません。でも、テンションのかけ方がちょっと狂って、イマイチの仕上がりかな。
次は一応の形にします。
てことで
ではでは